退職給付金200万円〜400万円のからくり…本当にもらえる?申請方法は?

退職給付金の正体と200〜400万円のからくりを示す図

2026年6月時点で、『退職給付金』という名前の公的制度はありません。実態は失業保険(雇用保険)と傷病手当金(健康保険)を合わせた呼び名です。

SNSやネット広告で「退職給付金で最大200万円」「400万円もらえる」というコピーを見て、検索した方が多いはずです。

「本当にもらえるのか」と立ち止まったのは、冷静な判断です。

結論として、条件を満たせば合計で200万〜400万円規模になるケースはあります。

ただし「誰でも」「必ず」もらえる金額ではありません。

2025年12月、国民生活センターは「失業保険の受給額が増える」とうたう申請サポートに注意喚起を出しました。不正受給を促す事例も報告されています。

この記事では、200万〜400万円という数字のからくり(内訳)を分解します。

そのうえで受給条件・自分でできる申請方法・業者を使う前の注意点を整理します。

※本記事は2026年6月時点の公的機関の情報をもとに、編集部で整理しています。

退職給付金に関する資料

目次

退職給付金200万円〜400万円のからくりと「本当にもらえるか」の結論

公的機関の情報を編集部が整理し相談件数の推移を示した図

先にお伝えすると、「退職給付金」は失業保険と傷病手当金の総称です。

条件がそろえば合計200万〜400万円規模になり得ますが、全員に当てはまる金額ではありません。

この章でわかること

  • 「退職給付金」の正体は何か
  • 200万〜400万円という数字の前提
  • 国による注意喚起があるかどうか

「退職給付金」という公的制度は存在しない

「退職給付金」という名前の制度は、法律にも厚生労働省の文書にもありません。

雇用保険制度に基づく失業等給付は、ハローワークで申請する公的支援です。厚生労働省の制度案内より

広告でいう「退職給付金」は、おもに次の2つを合わせた呼び名です。

  • 失業保険(雇用保険の基本手当)
  • 傷病手当金(健康保険の給付)

「退職給付金」=失業保険+傷病手当金1つの新しい制度ができたわけではありません。

200万円〜400万円は「合算した最大値」で全員が受け取れる額ではない

200万〜400万円は、2つの給付を最大限まで積み上げたときの理論値です。

受け取れる金額は、退職理由・年齢・加入期間・働けるかどうかで大きく変わります。

自己都合で普通に退職した場合、失業保険だけなら『90日分・60万円台』で終わるケースもあります。

広告の「最大◯◯万円」を、自分がもらえる金額だと思い込まないようにしましょう。

国民生活センターも申請サポートに注意喚起している

2025年12月3日、国民生活センターは申請サポートへの注意喚起を公表しました。国民生活センターの発表より

相談件数は2021年度の42件から、2024年度には『217件』へと増えています。

国民生活センターの申請サポート注意喚起と相談件数の推移
国民生活センター「失業保険の給付額等を増やすことができるとうたう申請サポートに注意」

寄せられた相談で目立つ内容
・受給額が増えると思ったが増えなかった
・解約を申し出たら高額な違約金を請求された
・不正受給を促すような誘導をされた

詳しい注意点は「退職給付金の申請サポート業者を使う前に知っておきたい注意点」で整理します。

退職給付金200万円〜400万円のからくり(金額の内訳)を分解

200〜400万円のからくりを傷病手当金と失業保険に分解した図

ここからは、200万〜400万円という数字がどう作られているのかを分解します。

からくりの中心は、傷病手当金と失業保険の「期間」と「金額」です。

200万〜400万円のからくり3要素

からくり①傷病手当金は通算1年6ヶ月・給与の約3分の2

傷病手当金は、病気やケガで働けないときに健康保険から支給される給付です。

支給額は、標準報酬月額の平均を30日で割り、その3分の2で計算します。全国健康保険協会(協会けんぽ)より

支給期間は、同じ傷病について支給開始日から『通算1年6ヶ月』が上限です。

協会けんぽの傷病手当金の支給額と支給期間を示す公式ページ
全国健康保険協会(協会けんぽ)「よくあるご質問(傷病手当金)」
月給(標準報酬月額)1日あたりの目安通算1年6ヶ月の上限イメージ
20万円約4,440円約240万円
30万円約6,660円約360万円
40万円約8,880円約480万円

※上限まで満額で受給した場合の試算です。実際の金額は働けない期間に応じて変わります。

からくり②失業保険は退職理由・年齢・加入期間で給付日数が変わる

失業保険(基本手当)は、退職後に再就職を目指す間の生活を支える給付です。

給付日数は、退職理由・年齢・雇用保険の加入期間で決まります。ハローワークインターネットサービスより

区分給付日数の目安
自己都合(一般離職者)90〜150日
会社都合(特定受給資格者)など90〜330日
就職困難者最大360日

広告の「最大」のからくり
給付日数が長い区分(就職困難者など)を前提に金額を出していることが多いです。

からくり③2つを合算すると200万〜400万円規模になるケースの試算

2つの給付を組み合わせると、合計が200万〜400万円規模になるケースがあります。

試算例(月給30万円・条件がそろった場合)
・傷病手当金:約20万円×18ヶ月=約360万円
・失業保険:就職困難者360日で約150万〜250万円

ただし2つの給付は『同時に受け取れません』。傷病手当金で療養し、回復してから失業保険を受け取る順番になります。

この試算は「すべての条件がそろった場合」の最大像です。多くの人はここまで届きません。

自分が対象になるかは「退職給付金200万円〜400万円は本当にもらえるのか」で確認できます。

退職給付金200万円〜400万円は「本当にもらえる」のか(受給条件)

退職給付金を受給できる人と難しい人の条件を整理した図

200万〜400万円が「本当にもらえるか」は、受給条件を満たせるかで決まります。

傷病手当金と失業保険では、求められる状態が正反対です。

傷病手当金は『働けないこと』、失業保険は『すぐ働けること』が前提になります。

傷病手当金を退職後も受け取る3つの条件

退職後も傷病手当金を受け取るには、退職の時点で条件を満たしている必要があります。

  • 退職日まで健康保険に継続して1年以上加入していた
  • 退職日の時点で傷病手当金を受給中、または受給できる状態だった
  • 退職日に出勤していない

退職日に出勤すると、退職後の継続給付は受けられません。一度でも働ける状態になると、そこで打ち切りです。

失業保険を受け取る条件と「すぐ働ける状態」の要件

失業保険は、働く意思と能力があり、すぐ働ける状態の人が対象です。

雇用保険に一定期間加入していたことも条件になります。

療養中で働けないうちは、失業保険は受け取れません。受給できる期間を延ばす手続きが必要です(後述)。

受け取れない・満額にならない主なケース

次のタブで、受給できる可能性が高い人と難しい人を整理しました。

  • 健康保険に1年以上加入していた会社員
  • 退職前から働けない状態が続いている
  • 雇用保険にも一定期間加入していた

自分が対象か不安なときは、ハローワークや協会けんぽに直接確認するのが確実です。

退職給付金(失業保険・傷病手当金)の申請方法と流れ

失業保険と傷病手当金の申請の流れと申請先を示した図

「退職給付金」の申請とは、失業保険と傷病手当金をそれぞれ申請することです。

どちらも自分で申請でき、窓口は無料で相談に乗ってくれます。

申請先は2つ
・傷病手当金 → 協会けんぽなどの健康保険
・失業保険 → ハローワーク

申請の全体像

傷病手当金の申請の流れ

傷病手当金は、退職後は自分で、加入していた健康保険に申請します。

STEP
医師に「労務不能」の証明を受ける

働けない状態であることを、主治医に証明してもらいます。

STEP
傷病手当金支給申請書を入手する

協会けんぽのサイトなどから、申請書をダウンロードします。

STEP
本人・事業主・医師の欄を記入する

申請書は本人だけでなく、事業主と医師の記入欄もあります。

STEP
加入していた健康保険に提出する

退職後も、申請先は在職時に加入していた協会けんぽの支部などです。

申請には期限があります。受けられる日の翌日から2年で時効になります。

失業保険の申請の流れ

失業保険は、住んでいる地域を管轄するハローワークで手続きします。

STEP
離職票・本人確認書類などを準備する

会社から受け取る離職票や、本人確認書類などをそろえます。

STEP
ハローワークで求職の申し込みをする

求職の申し込みと同時に、受給資格の決定を受けます。

STEP
待期期間・給付制限期間を経る

7日間の待期期間と、退職理由に応じた給付制限期間があります。

STEP
失業の認定を受けて受給する

原則4週間ごとに失業の認定を受け、基本手当を受給します。

必要書類や給付制限の有無
ハローワークの窓口で、個別の状況に合わせて案内してもらえます。

療養中は失業保険の「受給期間延長」を忘れずに

失業保険は「すぐ働ける人」が対象のため、療養中は受け取れません。

働けない間に手続きをしておけば、本来の受給期間を超えて、働けるようになるまで先延ばしできます。

延長手続きをしないと、受け取れる期間が過ぎてしまうことがあります。

傷病手当金で療養 → 回復 → 失業保険、という順番を意識すると無駄がありません。

退職給付金の申請サポート業者を使う前に知っておきたい注意点

申請サポート業者を使う前の注意点を整理した図

「退職給付金」をうたう申請サポート業者の利用は、慎重に判断したい部分です。

業者が一律に違法なわけではありませんが、トラブルや法律上の論点があります。

業者を使う前に確認したい4点

  • 業者を使っても受給額は増えない
  • 申請代行は社労士の独占業務
  • 不正受給を促す誘導には応じない
  • 費用と解約条件を必ず確認する

業者を使っても受給額は増えない(行政が金額を計算)

失業保険も傷病手当金も、金額は行政が法律に基づいて計算します。

業者が間に入っても、受け取れる金額自体が『増えるわけではありません』。

「受給額を増やせる」という訴求は、うのみにしないようにしましょう。

ハローワークや協会けんぽの窓口なら、『無料』で申請を相談できます。

社会保険の申請代行は社労士の独占業務(無資格代行のリスク)

労働・社会保険の申請書類の作成や提出代行は、社会保険労務士の『独占業務』です。

無資格者が報酬を得て代行すると、社会保険労務士法に触れるおそれがあります。社会保険労務士法(e-Gov法令検索)第27条より

社会保険労務士法第27条の業務の制限を示すe-Gov画面
社会保険労務士法 第27条(e-Gov法令検索)

「監修」表記は中身を確認
「社労士監修」「弁護士監修」が、誰が何をするのかを必ず確認しましょう。

申請そのものは本人が行い、業者は「サポート」にとどまる建付けが多い点も知っておきたいところです。

不正受給を促す誘導には応じない(返還と納付のペナルティ)

最も注意したいのは、不正受給を促すような誘導です。

体調に問題がないのに「うつ病として申請するよう」指示する事例が報告されています。

虚偽の申告で受給すると、給付停止と返還に加え、最大2倍額の納付(『いわゆる3倍返し』)が命じられることがあります。厚生労働省の不正受給に関する案内より

不正受給の責任を負うのは、業者ではなく『申請した本人』です。

事実と異なる申請をすすめられても、応じないようにしましょう。

費用相場と解約・違約金のトラブル

業者の費用は、定額制と成果報酬型に分かれます。

料金体系費用の目安
定額制30万〜70万円程度
成果報酬型受給額の10〜15%程度

解約時に高額な違約金を請求されたという相談も寄せられています。契約前に解約条件を必ず確認しましょう。

不安なときは、消費者ホットライン「188」で消費生活センターに相談できます。国民生活センターの注意喚起より

退職給付金に関するよくある質問

申請前に確認したい疑問を、6つにまとめました。

特に確認しておきたい3点
①「退職給付金」は失業保険+傷病手当金
②金額は人によって大きく異なる
③申請は自分で無料でできる

退職給付金で本当に200万円もらえる?

条件がそろえば200万円以上になるケースはありますが、誰でも受け取れる金額ではありません。退職理由・年齢・加入期間・働けるかどうかで変わります。詳しくは「からくりと結論」をご覧ください。

200万円〜400万円のからくりは?

傷病手当金(通算1年6ヶ月・給与の約3分の2)と失業保険を合算した最大値です。2つは同時に受け取れず、療養→回復→求職の順になります。内訳は「からくりの分解」で解説しています。

退職給付金(失業保険・傷病手当金)の申請に費用はかかる?

自分で申請すれば費用はかかりません。失業保険はハローワーク、傷病手当金は協会けんぽなどの窓口で無料で相談できます。手順は「申請方法と流れ」で確認できます。

申請すると会社にバレる?

失業保険は退職後の手続きで、傷病手当金は加入していた健康保険に申請します。手続きの目的で会社名などを記入することはありますが、申請内容そのものが会社に共有されるわけではありません。

申請サポート業者は違法?怪しい?

業者が一律に違法とは限りませんが、社会保険の申請代行は社労士の独占業務です。受給額は業者が介在しても増えません。注意点は「業者を使う前の注意点」で整理しています。

どこに相談すればいい?

制度や手続きはハローワーク・協会けんぽ、契約トラブルは消費者ホットライン「188」が相談先です。不正受給を促す誘導には応じないようにしましょう。詳しくは「自分で確認・相談しよう」をご覧ください。

制度や手続きの相談先は上記のとおりですが、「退職後に自分の地域でどう働き、暮らしを立て直すか」まで含めて相談したい人もいます。

社労士・FP・キャリコン監修の退職後のお金と働き方の相談窓口が、そうした相談に対応しています(相談のみ無料・受給を確約するものではありません)。

退職給付金の正体を理解して、自分で確認・相談しよう

ここまで、退職給付金200万〜400万円のからくりと申請方法を整理しました。

大切なのは、『自分が対象かどうか』を公式の窓口で確認することです。

この記事のまとめ
  • 「退職給付金」=失業保険+傷病手当金(公的制度名ではない)
  • 200万〜400万円は条件がそろった場合の最大値
  • 金額は行政が計算し、業者で増えない
  • 不正受給を促す誘導には応じない
  • 申請は自分で無料でできる

困ったときの相談先

相談したいこと相談先
失業保険の手続きハローワーク
傷病手当金の手続き協会けんぽ(加入していた健康保険)
申請の代行・専門相談社会保険労務士
契約・勧誘のトラブル消費者ホットライン「188」

広告の数字ではなく、公式の情報をもとに落ち着いて判断しましょう。

参考文献・情報源

離職された皆様へ

基本手当を受給される皆様へ(ロングver)日本語(Japanese)

※本記事の情報は2026年6月時点のものです。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

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この記事を書いた人

退職給付金ガイド編集部です。「退職給付金」という言葉に振り回されないために、失業保険や傷病手当金など、退職にまつわるお金の制度をフラットに解説しています。特定のサービスを一律にすすめるのではなく、正確な情報と、公的な相談先への道案内を大切にしています。

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